「先生、これって大丈夫?」診察室でよく聞かれる質問ベスト10

こんにちは、歯科医師の小田切陽子です。

文京区で「おだぎり歯科クリニック」を開業して20年近く、毎日たくさんの患者さんとお会いしています。
診察室では治療だけでなく、「先生、実はちょっと気になることが…」と、さまざまなお悩み相談を受けます。

そこで今回は、日々の診療で本当によく聞かれる「先生、これって大丈夫?」という質問をランキング形式で10個、ご紹介したいと思います。

皆さんが抱えているお口の不安、もしかしたらこの中に答えがあるかもしれません。
診察室でお話しするように、一つひとつ丁寧にお答えしていきますね。

目次

第1位「歯磨きのとき、歯茎から血が出るんですけど…大丈夫?」

ほとんどは歯肉炎のサインです

これは本当に多いご質問ですね。
歯磨きのたびに血が出ると、心配になってしまいますよね。

でも、これは歯茎が「ここに汚れが残ってますよ!」「炎症が起きていますよ!」と教えてくれている大切なサインなんです。
ほとんどの場合、歯と歯茎の境目に残った歯垢(プラーク)が原因で起こる「歯肉炎」という初期段階の歯周病の症状です。

血が出るからと怖がらず、優しく磨くことが大切

「血が出るのが怖くて、その場所を避けて磨いてしまう」。
実はこれ、患者さんが陥りがちな間違いで、逆効果になってしまうんです。

原因である汚れを取り除かなければ、炎症はどんどん悪化してしまいます。
大切なのは、怖がらずに、毛先の柔らかい歯ブラシで歯と歯茎の境目を優しく丁寧に磨いてあげること。

当院の患者さんでも、最初は出血に驚かれていた方が、正しい歯磨きを続けたら2週間ほどで出血がピタッと止まるケースがほとんどですよ。

第2位「冷たいものがしみるんです。これって虫歯ですか?」

しみる原因は虫歯だけではありません

「歯がしみる=虫歯」と考えて、慌てて来院される方も少なくありません。
もちろん虫歯の可能性もありますが、同じくらい多いのが「知覚過敏」です。

歯の表面は硬いエナメル質で覆われていますが、歯ぎしりや強い歯磨きで歯が削れたり、歯周病で歯茎が下がったりすると、内側にある象牙質という部分が露出してしまいます。
この象牙質には神経につながる無数の管が通っているため、冷たいものなどの刺激が伝わって「キーン!」としみてしまうんですね。

こんな「しみ方」は要注意!

では、どうやって見分けるのか、気になりますよね。
あくまで目安ですが、こんな違いがあります。

  • 知覚過敏かも?:冷たいものを口にした時に一瞬だけキーンと痛む。
  • 虫歯かも?:甘いものでもしみる、痛みがしばらく続く、何もしなくてもズキズキ痛む。

以前、来院された患者さんで「最近ずっとしみるんです」とおっしゃる方がいました。
詳しくお話を伺うと、寝ている間の歯ぎしりが原因で歯がすり減り、知覚過敏を起こしていたんです。
自己判断は難しいので、症状が続く場合は早めに相談してくださいね。

第3位「最近、歯ぎしりをしているみたいで…大丈夫?」

歯や顎に大きな負担がかかっています

ご家族に指摘されて、初めて気づく方が多いのが歯ぎしりです。
「たかが歯ぎしり」と軽く考えてはいけませんよ。

私たちが眠っている間、無意識に行う歯ぎしりの力はとても強く、ご自身の体重の何倍にもなることがあると言われています。
その強い力によって、歯がすり減ったり、時には割れてしまったりすることも。
顎の関節に負担がかかって口が開きにくくなる「顎関節症」や、頭痛、肩こりの原因になっているケースも少なくありません。

マウスピースや生活習慣の見直しで対策を

歯科医院では、寝ている間に装着する「ナイトガード」というマウスピースを作ることができます。
これを着けることで、歯や顎にかかる力を和らげることができるんですよ。

また、歯ぎしりの原因はストレスや疲れ、カフェインの摂りすぎなども関係していると言われています。
リラックスできる時間を作ることも大切ですね。
ちなみに私のリラックス法は、趣味の和菓子作りで無心になる時間です。
皆さんも、ご自身に合った方法を見つけてみてください。

第4位「子どもの歯並び、少しガタガタでも大丈夫?」

成長段階での「ガタガタ」は自然なことも

お子さんのお口のことは、親御さんにとって一番の心配事ですよね。
特に歯並びについては、早い段階から気にされる方がとても多いです。

まず知っておいていただきたいのは、乳歯から永久歯に生え変わる時期は、一時的に歯並びがガタガタに見えることがある、ということです。
顎の成長と歯の大きさのバランスが取れていない時期なので、過度に心配しすぎなくても大丈夫な場合も多いんですよ。

相談のベストタイミングは「6〜7歳頃」

では、いつ相談するのが良いのか。
最初の相談におすすめのタイミングは、前歯と「6歳臼歯」と呼ばれる奥歯の永久歯が生えてくる6〜7歳頃です。

この時期は、顎の成長を利用しながら骨格のバランスを整える治療ができる可能性があります。
早めに相談することで、将来的に本格的な矯正治療が必要になった場合でも、歯を抜かずに済む可能性が高まるなどのメリットがあります。
学校の歯科検診で指摘されてから…ではなく、気になったらいつでも見せに来てくださいね。

第5位「口内炎が2週間以上治らないんです…」

長引く口内炎は、他の病気の可能性も

「たかが口内炎」と思いがちですが、実は注意が必要なサインが隠れていることもあります。
通常、口内炎は1〜2週間もすれば自然に治ることがほとんどです。

しかし、2週間以上たっても治らない、大きくなっている、しこりのように硬くなっている、といった場合は注意が必要です。
合わない入れ歯や尖った歯が粘膜を傷つけているケースもありますし、ごく稀にですが、口腔がんなどの初期症状である可能性も否定できません。

まずは歯医者さんで原因を特定しましょう

口内炎の原因は、疲れや栄養不足、ストレスによる免疫力の低下から、物理的な刺激まで本当に様々です。
診察室では、お口の中を拝見するだけでなく、生活習慣についてもお話を伺いながら、原因を一緒に探っていきます。
「いつもの口内炎」と自己判断せず、長引く場合は必ず専門家に見せてください。

第6位「フロスを使うと血が出るから、使っていません」

それは、まさにフロスが必要なサインです

このご質問、第1位の「歯磨きでの出血」と根っこは同じなんです。
フロスを通した時に血が出るのは、歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間に汚れが溜まっていて、歯茎が炎症を起こしている証拠。

つまり、「フロスを使ったから血が出た」のではなく、「血が出る場所にこそ、フロスが必要」ということなんですね。
出血は一時的なもので、フロスを続けることで歯茎が引き締まり、次第に出血しなくなってきますよ。

診察室でのフロス指導エピソード

「フロスは難しくて…」とおっしゃる方は多いですが、正しい使い方を覚えると、皆さんそのスッキリ感に驚かれます。
最初は怖がっていた患者さんも、「思ったより痛くないし、気持ちいいですね!」と笑顔になる瞬間は、私にとっても嬉しいひとときです。
力の入れすぎは歯茎を傷つける原因になるので、優しく動かすのがコツですよ。

第7位「歯の着色汚れが気になるんですが、大丈夫?」

病気ではありませんが、見た目の印象を左右します

コーヒーやお茶、赤ワイン、カレーなど、色の濃い飲食物の色素が歯の表面に付着したものが「着色汚れ(ステイン)」です。
タバコのヤニも大きな原因ですね。

これ自体が虫歯や歯周病といった病気の直接的な原因になるわけではありません。
しかし、歯の表面がザラザラするため汚れが付着しやすくなったり、何より見た目の印象を気にされる方が多いですね。

歯科医院のクリーニングで本来の白さに

一度ついてしまった頑固な着色汚れは、残念ながら毎日の歯磨きだけで完全に落とすのは難しいです。
歯科医院では、専門の機械とペーストを使って歯の表面を磨き上げる「PMTC」というクリーニングを行っています。
これによって、歯が持つ本来の白さとツルツル感を取り戻すことができますよ。
当院では、着色の原因になりやすい食生活のアドバイスもしています。

第8位「親知らずって、絶対に抜かないとダメ?」

ケースバイケース。抜かなくて良い親知らずもあります

「親知らず=痛い思いをして抜くもの」というイメージが強いかもしれませんね。
でも、実はすべての親知らずを抜かなければいけないわけではないんです。

例えば、上下できちんと噛み合っていて、歯ブラシもしっかり届き、虫歯にもなっていない親知らずであれば、無理に抜く必要はありません。
抜いた方が良いのは、横向きに生えて手前の歯を押していたり、汚れが溜まりやすく虫歯や歯周病の原因になっていたり、繰り返し歯茎が腫れたりする場合です。

不安な方は、まずレントゲンで確認を

ご自身の親知らずが今どういう状態なのかは、レントゲンを撮ればすぐに分かります。
「抜くかどうか」を悩む前に、まずは現状を正確に知ることが第一歩。
抜歯と聞くと怖く感じるかもしれませんが、今の状態を知るだけでも安心できますから、気軽に相談してくださいね。

第9位「電動歯ブラシって、手磨きより良いんですか?」

「誰が使っても」効率的に磨けるのがメリットです

これもよく聞かれる質問ですね。
結論から言うと、どちらが絶対的に良い、ということはありません。
手磨きでも、時間をかけて丁寧に磨けば完璧にきれいにできます。

電動歯ブラシの最大のメリットは、誰が使っても、技術にあまり左右されずに、短時間で安定して効率的に汚れを落とせる点です。
特に、細かい手の動きが苦手な方や、忙しくて歯磨きに時間をかけられない方には心強い味方になりますね。

大切なのは「歯にきちんと当たっているか」

ただし、電動歯ブラシを使っていれば安心、というわけでもありません。
診察室で患者さんのお口を拝見すると、電動歯ブラシを使っているのに、特定の場所にいつも汚れが残っている、ということがよくあります。
大切なのは、手磨きでも電動でも、一本一本の歯にきちんと毛先が当たっているか意識すること。
当て方にはちょっとしたコツがあるので、ぜひ一度、ご自身が使っている歯ブラシを持ってきてください。

第10位「歯石取りって、痛いですか?」

歯石がたくさん付いていると、少し響くことも

痛いかどうか、これは一番気になるところですよね。
正直にお答えすると、歯石がたくさん付いていたり、歯茎の炎症が強かったりすると、少し痛みや「響く感じ」が出ることがあります。

でも、それは歯茎が健康を取り戻そうとしている証拠でもあるんです。
歯石は歯周病菌のすみかですから、それを取り除くことで歯茎の炎症が治まっていきます。
施術中の少しの違和感は、健康な未来への投資だと思っていただけると嬉しいです。

痛みを和らげる工夫もできます

もちろん、私たちは無理に治療を進めることはありません。
痛みが強い場合は、機械のパワーを調整したり、手用の器具で優しく取ったり、場合によっては歯茎の表面に塗る麻酔を使ったりと、様々な工夫ができます。

一番大切なのは、我慢せずに「痛いです」と教えてくださること。
患者さんとコミュニケーションを取りながら、できるだけ快適にクリーニングを受けていただけるよう努めていますので、安心してくださいね。

よくある質問(FAQ)

Q: 歯の定期検診は、どのくらいの頻度で行くのが良いですか?

A: お口の状態によりますが、多くの方には3ヶ月〜半年に1回の検診をおすすめしています。
虫歯や歯周病は、初期段階では自覚症状がないことがほとんど。
プロの目でチェックすることで、早期発見・早期治療につながります。
20年来の患者さんで、定期検診を続けている方は、80歳を過ぎてもご自身の歯で食事を楽しまれていますよ。

Q: 市販のホワイトニング歯磨き粉って、効果はありますか?

A: 歯の表面についた着色汚れを落とす効果は期待できますが、歯そのものの色を白くする(ブリーチング)効果はありません。
本来の歯の色以上に白くしたい場合は、歯科医院で行うホワイトニングが必要です。
ご自身の希望に合わせて使い分けるのが良いでしょう。

Q: 治療で詰めた銀歯を、白いものに変えられますか?

A: はい、可能です。
保険適用の白い詰め物(コンポジットレジンやCAD/CAM冠)や、より見た目や耐久性に優れた保険適用外のセラミックなど、様々な選択肢があります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、診察室でじっくりご相談しながら、あなたに最適なものを選びましょう。

まとめ

診察室でよく聞かれる質問、ベスト10はいかがでしたか?
「あ、これ私も気になってた!」という項目があったかもしれませんね。

お口の悩みは、なかなか人には相談しにくいもの。
でも、決して一人で抱え込まないでください。
今回お話しした内容は、あくまで一般的なお答えです。

一番大切なのは、あなたのお口の状態を専門家がきちんと診て、最適なアドバイスをすること。
この記事を読んで少しでも不安が軽くなったり、「歯医者さんに行ってみようかな」と思っていただけたら、歯科医師としてとても嬉しいです。
いつでも、お気軽に相談に来てくださいね。

お口のことで気になる症状はありませんか?
「これくらい大丈夫かな?」と自己判断せず、まずは専門家にご相談ください。
「おだぎり歯科クリニック」では、患者さん一人ひとりのお話をじっくり伺うことを大切にしています。

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